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自分が読んだ漫画の記録です。昔読んだものから最近のものまで、少しずつ揃えるつもりです。 コメント、トラックバック、お気軽にどうぞ。
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せっかち伯爵と時間どろぼう  久米田康治 講談社 既刊1巻



時間を無駄に過ごすことについては誰にも負けないかのような生活を送る少年、時只卓の前に現れたのは、かの有名な怪人のサンジェルマン伯爵とその妹であった。不老不死と思われたサンジェルマン伯爵であったが、実は各時代に点在しながら長生きしているように見せかけているだけで、本当は1年くらいの寿命しかない短命な種族だったのだ。彼らからしてみれば、卓の行動は貴重なものの浪費であるため、いわば卓は「時セレブ」なのだ。伯爵の妹はそんな卓の姿に恋したことから、この時代を終の棲家とすることを決意するのだった。かくして、謎の伯爵と妹、卓、その幼馴染みを中心とした奇妙な物語の幕が開ける。

久米田康治の新作は、時間泥棒の物語。帽子が天まで突き抜けるくらいに長いサンジェルマン伯爵と、その仲間(+敵)たちを中心に据えたギャグ漫画というところか。「絶望先生」時代と変わらず、羅列ネタやあるあるネタで攻めていくことが多いが、作者の中で下ネタへの開放感が高まったのか、幾分下ネタが多い構成になっている。「絶望先生」時代のシュールでお上品なギャグから久米田作品に出会った者としては、ちょっと敷居が高い。

ちなみに、今回もカバーの材質やデザインに凝っていて、特殊な紙質のカバーに白黒プラス1色という非常に洒落た表紙が目を引く。
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親父の愛人と暮らす俺 玉置勉強 幻冬舎 既刊1巻



引きこもりの高校生、太郎が一緒に暮らすことになったのは、父親の愛人である24歳の智奈子だった。父親は家に帰らず、母親は別居中とあり、太郎は智奈子との奇妙な同居生活を始める。

父親が連れてきた若いお姉さんと2人っきりで同居して…と、まるでアダルトビデオにありそうな設定の物語。実際、暮らしの中でちょっとドッキリするようなことは起きるが、あくまでも描かれるのは2人の引きこもりの生活が中心である。同居人の智奈子は太郎の父親に半ば強制的に太郎の世話を依頼されたわけで、2人は太郎の父親に捨てられたという意味では同じである。そんな不条理な状況に置かれた2人が、生活を送る中で寂しい心を通わせていくという切ない面も持った側面が強い。

1巻の最後の話では、最愛の息子から引き離された母親からの電話が掛かってきて、事態は一気に深刻化しそうだ。Hな妄想を掻き立てるような設定だって、現実に起こってみれば、きっとこんなもんだろう。
アンの世界地図~It's a small world~  吟鳥子 秋田書店 既刊1巻



16歳の少女アンは、金髪にロリータ服という外見だが、近所では「値引きのロリータ」「ビンボー姫」と呼ばれ、賞味期限が迫って値引きされたコンビニ弁当を買って生活する有り様だった。実は、家はゴミ屋敷で母親は酒浸りという境遇を必死に生きていたのだった。ある日、自分の大切な服を母親に破かれたことをきっかけに家出を決意し、徳島に住む祖母の家を目指した。しかし、肝心の祖母の住所が書かれた手紙を紛失し、途方に暮れているところを、謎の着物少女アキに助けられ、古民家に案内される。2人の少女の奇妙な同居生活がここに始まる。

1巻の山場は、何といってもアンがアキの育ての親のような存在であるマサじいと対峙する場面だ。家族は人生で初めて折り合いをつけることを学ぶ場だと主張するマサじいに対して、それは恵まれた家族のもとに生まれ落ちた者の見方であって、自分の子どもに関心を持たない親のもとに生まれた人間には当てはまらないと言うアン。アキのことを「はじめてのお母さん」と表現するアンの姿に、マサじいは折れてアンを家族として迎え入れるのだった。

アンのことを心から受け入れてくれるアキの包容力が、舞台となる徳島の大自然と合わさることで、壮大な優しさに包まれた物語になっている。素敵な世界観の物語はまだまだ始まったばかり。やがて明かされるであろうアキの秘密も気になるところだ。
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 谷川ニコ スクウェア・エニックス 既刊5巻



アニメ放送も好評を博し、知名度もアップした「ワタモテ」。ぼっちでかつ異性にモテない喪女、黒木智子(もこっち)は、高校生活2年目に突入する。

切ない中にも、ほろっとさせるエピソードがあって、ぼっち描かせたら谷川ニコの右に出る者はいないなと思わされた。特に巻頭の第37話は印象的である。卒業式後、皆が感動の別れを交わす中、独りぼっちでいる3年生を見つけたもこっちは、その存在に2年後の自分を重ねる。たまたま話をする機会に恵まれ、写真まで撮った後、2人は別れる。ぼっち同士で何となく心が通い合ったかのような2人は、また別の道を歩み始める。感極まって涙を流し、打ち上げに出かけていく「リア充」達には思いもよらない、切なさと虚しさを描いた屈指のエピソードである。また、カフェで仕事をサボってアニメを見るサラリーマン(しかも必ず2話しか見ない律儀な人物)と、もこっちとの心の交流を描いた第44話もお気に入りだ。1年前と変わらないように見えて、実は変化を求めていて、行動も起こしているもこっち。その分だけ、心に響く切なさに溢れたエピソードが多いように感じられた。


◇過去の記事◇
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1)』
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2)』
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(3)』
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(4)』
あまんちゅ! 天野こずえ マッグガーデン 既刊7巻



高校生、"てこ"と"ぴかり"による「日常、ときどきダイビング。」物語も7巻に達した。夏休みが終わり、秋の気配が漂う中、学校は文化祭一色に染まる。そんな中、姉ちゃん先輩は学校七不思議として語られる摩訶不思議な体験をする。また、秋の伊東を舞台に、新しいドライスーツを手にしたダイビング部の活動の様子も描かれる。

作者完全復帰となった6巻と7巻。季節は秋でダイビングには不向きな時期の到来かと思いきや、気温の変化に水温の変化が遅れるという性質上、秋はまだまだダイビングにもってこいの季節なのだそうだ。伊東の海に広がる大自然の美しさを、大きなコマで存分に満喫できる充実の内容であった。新品のドライスーツを手にし、ドライスーツ着用での本格的なダイビングは初めてとなったてこは、イメージトレーニングの成果を発揮して順調に過程をクリアしていくが、それでも不意の出来事に対応できず、悔しさを覚えるのだった。久々に、てこがダイビングの難しさに直面するという部活漫画としての一片を垣間見ることができた。

二宮姉弟の秘密(7巻の表紙絵に関係する)がわかったり、新たな登場人物である小学生のこころが現れるなど、主役の脇を固める人達の活躍も描かれていて楽しい。また、作者の初連載作である『浪漫倶楽部』の読者は、火鳥先生がやはり『浪漫倶楽部』に出ていた火鳥真斗と同一人物であるのだと確信できる場面があり、思わずにやりとしたのではないだろうか。


☆過去の記事☆
『あまんちゅ!(1)(2)』
『あまんちゅ!(3)』
『あまんちゅ!(4)』
『あまんちゅ!(5)』
ピカ☆イチ 槙ようこ×持田あき 講談社 全7巻



「常に人のために」「友を大切にする」「正々堂々とする」を生徒心得とする都内有数の名門校、愛種高校に惚れて入学した鈴木太郎、鈴木花子の2人が、特進クラスの生徒が成績最下位層の生徒に対して凄惨ないじめを平然と行うところを偶然にも目撃し、仲間と共に学校の不正と闘う物語。名門校の裏に隠された裏口入学の不正やいじめの現状が世に暴露され、愛種高校は廃校の危機にさらされる。絶体絶命のピンチの中で、2人が下した決断はいかに。

地味な男女が派手な姿に変身して学校の不正に立ち向かう物語はクライマックスを迎えた。敵対関係にあり学園を牛耳っていた道玄直治は、1度は学校の破壊行動へ向かうものの、花子と太郎の行動に心打たれ、徐々に心を入れ替えていく。そんな中で起こったのが、学園の不正問題である。皆が学校の存続を諦めかけた時、花子たちは立ち上がった。生徒が理事会と校長・教頭職を担い、学校の変革に努め、愛種高校を変えていく。その過程では学校の意義やあり方が問われ、読者もまた学校の役割について考えさせられる。現実とは程遠い学校運営かもしれないが、こんな学校が1校くらいあっても良いのではと思わせてくれるエピソードだった。

花子と太郎の恋愛については最後まで深入りせずだったが、きっと2人は夫婦で理事長となり、理想の愛種高校を作り上げていくであろうし、周囲にはかつての仲間達が同じように傍で支えとなってくれるのだろうと思った。少女漫画でありながら教育問題にも意見を投げかける意欲作だった。


☆過去の記事☆
『ピカ☆イチ(1)(2)(3)』
orange 高野苺 双葉社 既刊2巻



20代というと、人生の中での大きな決断を迫られることも多く、今後の人生を決める岐路に立たされる時期とも言える。そんな時期だからこそ、ふと過去の自分の決断の数々を振り返った時に、後悔の念に駆られることもある。それがもし、かけがえのない友人を失うという、とてつもない出来事に繋がっていたら尚更であろう。本作は、後悔に満ちた20代の自分からのメッセージを、自分の未来など知る由もない10代の高校生が受け取り、運命に抗う物語である。

高宮菜穂は、自分の気持ちを抑えがちな高校2年生。同級生の須和弘人らと平凡ながら楽しい高校生活を送っていた。しかし、菜穂の平凡な日常は、未来の自分から届いた手紙によって崩れ去る。手紙に書かれているのは、26歳になった未来の自分が必死な思いで綴った後悔の念と、転校生の成瀬翔を守るようにという願いであった。初めは本気にしない菜穂だったが、手紙に日記のように書かれた出来事が次々と的中していくにつれて、菜穂は手紙の内容が真実であることを実感していく。やがて翔に心惹かれていく菜穂は、未来の自分が過去の自分に手紙を宛ててきた理由を探ろうとして手紙を読み進めることで、翔が後に自ら命を絶つという未来を知る。

長野県松本市を舞台にした青春物語は、どこまでも切なさに満ちている。未来を変えたい、翔を救いたいと思う菜穂の気持ちは、時に翔に届き、時に胸にそっと秘めるしかない。未来の自分からのメッセージに戸惑いつつ、それでも運命に立ち向かっていく菜穂の姿には勇気付けられる。また、高校生としての瑞々しいまでの感性によって紡がれる恋愛要素は心温まるもので、大人になった読者までもタイムスリップしたような気持ちにさせてくれる。
月刊少女野崎くん 椿いづみ スクウェア・エニックス 既刊4巻



野崎梅太郎は、身長190cmで無骨な高校2年生だが、実は大人気少女漫画家であった。そんな野崎に憧れる佐倉千代は、思い切って告白するも、いつの間にか野崎のアシスタントになってしまうのだった。佐倉は野崎と関わるうちに、自分達の通う浪漫学園には野崎のアシスタントが何人かいることを知り、徐々に野崎と個性豊かなアシスタントに囲まれる日常を送ることになっていく。

宝島社の「このマンガがすごい!2014」にもランクインした注目作。1ページをまるまる使い、少女漫画のような作画を存分に楽しめる4コマ漫画である(実際に作者は他誌で少女漫画も連載している)。野崎のアシスタントである、御子柴、堀、若松、そして演劇部の鹿島、声楽部の瀬尾、担当の宮前、近所に住む漫画家の都など、どのキャラクターも非常に個性が強く、この人たちが集まるだけで、上質なギャグ漫画ができあがる。登場人物は基本的に真面目な人が多いのに、なぜかふざけたように見えてしまう行動が多発したり、本来の目標からずれた方向に進んでしまったり… ドタバタ劇を中心としたやり取りが笑いを誘う。第1話以降、基本的にラブコメから遠ざかっているのだが、たまに不意打ちのように訪れるラブコメ要素もあって、中身は盛りだくさんだ。

また、本書の魅力は漫画家の仕事自体も詳しく、かつコメディタッチに描いている点だ。漫画の登場人物の性格を設定する参考にクラスメイトを観察してみたり、レストランに行ったら参考資料にと写真を撮ったりといった、職業病とも言える行動から、スクリーントーンの知識、季節ネタの取り入れ方、担当とのやり取りといった事情に至るまで、本書を読んでいると漫画ができるにあたっての裏がよくわかって面白い。しかも、そのすべてがネタとしてギャグに昇華されているのだから、作者の才能には脱帽である。
カリュクス 岬下部せすな 双葉社 既刊1巻



時は2050年。世界は砂漠化が進み、かつてのような平和で豊かな暮らしは影を潜めていた。日本は4つの独立小国家に分断され、食料や土地を求めた戦争と隣り合わせの日常が訪れていた。その1つであるサイタマ国の防衛軍に所属する沢村草史は、周囲に流されて生きることに甘んじていた。沢村は、ある日防衛軍の食堂で、世間で話題になっている「花の少女」という病に侵された少女、ナデコと出会う。沢村はナデコに惚れられるのだが、「花の少女」たちはとても過酷な運命を背負っていたのだった。

岬下部せすな待望の新作は、現在よりも衰退した未来の日本を描いた人間ドラマ。砂漠化が進む中で突然変異として生まれた植物種は、人間の少女の心臓に巣食うことで生きるという道を開拓した。花に養分を奪われ、短命な生涯が待っている彼女達は、他の人々から隔離されていた。さらに悲惨なことに、少女達は恋をすると不思議な力に満たされるため、戦闘要員にさせられるのであった。

短い命を、人を愛し愛されることで全うさせたいと願う彼女達は、パートナーの男性を見つけ、共に戦う道を選ぶのだった。ナデコもまた例外ではなく、沢村に出会ったときから恋に生きようと決意するのだった。しかし、沢村はナデコの悲惨な運命に自分が関わることを避けようとする。傷つくことを避け、周囲に流されながら生きてきた青年と、短い命を精一杯に生きようとする少女が出会うことによって化学変化が生じるところが、1巻最大の山場である。

舞台は、荒廃し絶望感漂う世界だが、生きることの素晴らしさ、1人1人の人間のかけがえのなさを訴えかけてくれる温かさに満ちたファンタジーで、早速1巻から惹かれた。
それでも世界は美しい 椎名橙 白泉社 既刊6巻



太陽の王国の若き王女ニケと、王国の少年王リビの物語の第6巻。砂の皇国編がクライマックスを迎える。砂の皇国の王イラーダは、ニケを自らの妻にしようと謀略に出る。王の側近の手を借りて何とか脱出したニケだったが、追っ手は迫る。絶体絶命のピンチに陥ったニケは、逃げずに王に立ち向かうのだった。

第1巻から繰り返し描かれてきたテーマが、本作のタイトルにもなっている、「世界は美しい」というメッセージであった。砂の皇国編では、そのテーマがこれまで以上に美しく、そして壮大に描かれていた。砂に囲まれた厳しい環境の皇国では、数多の人々が尊い命を落としていった。王のイラーダは、自然の猛威に晒される度に自らの無力さを実感するのだった。しかし、皆の願いを受けたニケの歌によって雨が降り、その雨によって王はこの世界の美しさを改めて実感し、また、この世界に生きていてよいのだという許しを得たような気持ちになる。これまで1人で抱え込んできた重荷を降ろせるわけではないが、イラーダは、ニケが降らせた雨により、乾燥した心までも潤わせるのだった。これまでも何度となく人々の心を救ってきたニケの雨であったが、砂の皇国編のラストは屈指の名場面となった。

今回は、巻末のおまけ漫画「概ね世界は美しい」も収録されていた。砂の皇国の王イラーダのそっくりさんが電気屋となって登場し、ニケに求愛するというエピソード。ここでもライバルとなるリビとイラーダの対立が面白い。

本編は、湖の王国編に突入する。かつて登場したルナの結婚騒動に巻き込まれ、また新たな騒動が起こる。また、本作は4月からアニメ化が決定したそうだ。これにより、ますます多くの人が本作のことを知るようになると思うと嬉しい。


●過去の記事●
『それでも世界は美しい(1)』
『それでも世界は美しい(2)』
『それでも世界は美しい(3)』
『それでも世界は美しい(4)』
『それでも世界は美しい(5)』
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