三島凛は信じない! 倉薗紀彦 アスキー・メディアワークス 既刊1巻
ごく普通の高校に通う普通の高校生、芥川周太郎は、天才少女、三島凛が部長を務める「オカルト撲滅研究会」に入ってしまったゆえに、部長にこき使われる存在になってしまうのだった。三島凛は才色兼備でありながら、わがままな性格。周囲からも冷ややかな目で見られていた。超常現象には必ず科学的な根拠があると主張して止まず、自らが偉大な業績を残したという科学の知見を活用し、超常現象の否定に全力を尽くすのであった。
学園内で話題になったトイレの花子さんの謎など、超常現象の正体を次々と暴き、得意になる凛だったが、実は、一見解決したかのように見える問題にも人知を超えた謎が未解決のまま残っていた。そして、その謎に出会うのはパシリ的存在の芥川のみであった。凛がそのトリックを暴いたことをきっかけに、オカルト撲滅研究会に入部することになった、未来予知少女、谷崎綾目、発火能力少年、有栖川の存在も然り。凛の説明だけでは説明の付かない事象があるなど、彼女は知る由もなかった。
作者は『魔法行商人ロマ』を手掛けた倉薗紀彦。昨年連載を終了したが、今年になって立て続けに単行本を出すなど、精力的な活動をしているようで、嬉しく思う。孤独な魔法少女を主人公にした前作とは異なり、傍若無人な美少女と巻き込まれ系の少年を軸に進む物語が本作だ。それでも、まるで藤子作品のSF (少し不思議) を想起させるような内容は健在。読後感が爽やかな温かい話も魅力的。なお、掲載誌ゆえなのか、ライトなお色気描写あり。
ちなみに、本作品について書いた
「ジャケ買いする勇気…!」のTonimaryさんの記事を読んで納得。本作の設定は、あの『涼宮ハルヒの憂鬱』と重なる部分が多い。不思議を求める主人公の少女、主人公に振り回されるごく普通の少年、少年の前に現れる不思議現象… 極めつけに、有栖川の爽やかイケメンぶりと謎の転校生設定は、古泉一樹そのもの。2作品を対比して読んでみるのも面白い。
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