ムジカ かかし朝浩 幻冬舎 既刊1巻
舞台は、1830年ドイツ連邦ザクセン王国。後に有名な音楽家として名を刻むことになるシューマンは、大学を辞めてまでして、ピアニストのヴィーク先生に師事することに決める。そして、シューマンはヴィークの娘、クララと出会う。完全無欠な演奏技術を誇りながらも、シューマンの心を揺さぶることができないクララ。シューマンは、クララに音楽を楽しむことの大切さを教え、クララはシューマンに演奏技術を指導し、互いは徐々に才能を開花させていく。
19世紀のドイツを舞台にした、音楽家達の青春物語。氷のような心を持った才女に、楽天的な男性が関わっていき、本当の意味でのプロに仕立て上げていくという物語の構成は、それほど珍しいものではないが、当時の社会の描写が丁寧で、作品の魅力を高めている。
天才音楽家、メンデルスゾーンとの音楽対決のような、少年漫画的な展開もあり、クララの内に眠る音楽をシューマンが開花させていくという少女漫画的なシーンもあり、男女問わず幅広く楽しめる内容になっているのではないだろうか。
コミックスには、「ダヴィッド同盟 豆知識集」という、当時の時代背景に関する解説や、設定のこぼれ話を収録したコラムがあり、その内容も面白い。クラシック音楽や当時のヨーロッパの歴史に疎い人であっても十分楽しめる。
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