せっかち伯爵と時間どろぼう 久米田康治 講談社 既刊1巻
時間を無駄に過ごすことについては誰にも負けないかのような生活を送る少年、時只卓の前に現れたのは、かの有名な怪人のサンジェルマン伯爵とその妹であった。不老不死と思われたサンジェルマン伯爵であったが、実は各時代に点在しながら長生きしているように見せかけているだけで、本当は1年くらいの寿命しかない短命な種族だったのだ。彼らからしてみれば、卓の行動は貴重なものの浪費であるため、いわば卓は「時セレブ」なのだ。伯爵の妹はそんな卓の姿に恋したことから、この時代を終の棲家とすることを決意するのだった。かくして、謎の伯爵と妹、卓、その幼馴染みを中心とした奇妙な物語の幕が開ける。
久米田康治の新作は、時間泥棒の物語。帽子が天まで突き抜けるくらいに長いサンジェルマン伯爵と、その仲間(+敵)たちを中心に据えたギャグ漫画というところか。「絶望先生」時代と変わらず、羅列ネタやあるあるネタで攻めていくことが多いが、作者の中で下ネタへの開放感が高まったのか、幾分下ネタが多い構成になっている。「絶望先生」時代のシュールでお上品なギャグから久米田作品に出会った者としては、ちょっと敷居が高い。
ちなみに、今回もカバーの材質やデザインに凝っていて、特殊な紙質のカバーに白黒プラス1色という非常に洒落た表紙が目を引く。
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