もうそうのアキ たら子 マッグガーデン 全3巻
妄想癖を持った23歳のフリーター、坂本アキが現実に立ち向かう物語。バイト先の年下の大学生、館山に失恋し、意気消沈のアキだった。加えて、アキの妄想癖の原因となった人物、里見まで登場し、アキの心は沈む一方であった。ところが、館山とのデート、里見との再会を通して、アキは久我山との距離を少しずつ縮め、久我山への恋心を抱いているのではないかを考えるようになる。妄想女子によるコメディーの最終巻。
3巻は、これまでさりげないイケメンぶりを発揮してきた久我山との恋愛が軸になる。これまで恋愛対象としては考えられなかった久我山は、実はアキが最も自然体で接することのできる人物であった。バイトの仲間との交流を通して、得意の妄想を発揮するのではなく、純粋に目の前にいる人と関わり、その人のことを知っていく楽しさに目覚めていくアキ。久我山についても例外ではなく、周囲の後押しもあって、徐々に久我山のことを意識していくのだった。
生来の妄想癖を抱えたアキあったが、久我山と関わっていくことで、妄想から徐々に抜け出し、現実世界で恋愛することに向き合うようになっていく。アキの成長と久我山との関係の進展とが重なって描かれる終盤の展開は感動もの。可能性を切り拓いた23歳の女性の人生はまだまだこれから。そんなことを感じずにはいられない爽やかな締めくくりであった。ちなみに、番外編として収録されている、「思い出のなつお」は、アキの高校時代からの友人であるなつお、とーこ先輩との出会いが描かれた秀作で、最後まで楽しむことができた。
●過去の記事●
『妄想のアキ(1)』『妄想のアキ(2)』PR