せっかち伯爵と時間どろぼう 久米田康治 講談社 既刊3巻
人類よりもはるかに進化し、時間移動を可能にした上人類に属するサンジェルマン伯爵が、現代に暮らす人類のもとに降り立ち、毎回ハプニングを起こす物語。上人類にとって、時間は最も貴重なものであるが、その時間を人類の中で最も無駄に消費しているのが、日本の高校生、時只卓である。彼らを中心にしたしょうもないギャグは絶好調で、3巻では1冊にわたって卓の冒険が描かれるという新しい試みも見られた。
相変わらず、絶望先生終了後は下ネタのタガが外れたようで、ギャグの基本は下ネタである。よくもまあこんなに思いつくものだと感心してしまう。また、積極的に描かれる有名人達も、本作の売り。大ヒット映画の主演男優やら、ニュースを騒がせたあの人やら、続々と登場して見事にネタにされている。
本作は時が重要なテーマになっているので、作品自体が時を意識させることが多い。第1巻の冒頭から読者を引き込んだ、まずオチから見せて、徐々に時を遡りながらオチに至る過程を辿っていくという手法は、3巻の時只卓冒険譚でも用いられている。
どこに向かおうとしているのか、若干心配な部分もある漫画ゆえに、今後も見守っていきたい。
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『せっかち伯爵と時間どろぼう(1)』PR