テラモリ iko 小学館 既刊2巻
作者自身も自虐的に指摘しているが、「テラモリ」とは、タイトルから想像される食べ物漫画のイメージとは真逆を行く、アパレル業界を扱ったコメディータッチの漫画である。舞台はスーツ販売店の「テーラー森」(略して「テラモリ」)中央店。ヲタク女子大生の高宮陽は、紳士服の知識はゼロの上に接客に不安を覚えるほどの人物だったが、時給の高さに目が眩み、テーラー森中央店でのアルバイトに応募し、採用される。個性的で優しい同僚に囲まれ、ドS副店長の平尾に指導されつつ、高宮は成長していくのだった。
一応「サンデー」の作品だよなと目を疑うような、少女漫画に出てくるようなイケメン達が多く登場する漫画である。それに加えて、コメディー要素の強い部分だけを見ていると、軽いノリの漫画にも思えるが、中身は実は本格派である。作者自身が紳士服店でのアルバイト経験があり、それに加えて取材もしているようである。知っているようで知らないスーツの世界の奥深さ、高宮が仕事に求められる厳しさを学び成長していく過程が随所に盛り込まれており、スーツを見る目が変わり、同時に働く元気が湧いてくる物語である。
スパイスとして入っている恋愛要素と紳士服の豆知識は両立が難しい部分もあろうが、両方がうまく織り交ざった時には他の漫画では描き切れない面白さが生まれるのではないかと期待している。
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