月刊少女野崎くん 椿いづみ スクウェア・エニックス 既刊7巻
少女漫画家の武骨な男子高校生、野崎梅太郎中心とする4コマ漫画の待望となる第7巻。愛する人からのキュンとくる言葉もシチュエーションも、すべては漫画制作のため。ラブコメという言葉では表しきれないラブ&ギャグが炸裂しまくる。
毎回斜め上を行くズレのせいで、野崎と佐倉、若松と瀬尾、堀と鹿島の関係は進展しない。それでも、7巻では様々な行事や出来事を通して少しずつだが距離が近づいているように思う。本人達が無自覚であるところが相変わらずだが。
普通の少女漫画ならドキドキの場面になること必至の設定も、なぜかこの漫画では笑いの種になってしまう。例えば、若松の実質的な告白話や、野崎の家の近くに住む女子大生漫画家、都ゆかりの飲み会話など、どう考えても恋愛街道まっしぐらなネタも、本作の舞台に乗せればたちまちコミュニケーションギャップが生まれるギャグ漫画になってしまうのだ。その辺りの作者の塩梅というか、ネタの調理の仕方が絶妙だ。
第61号で扱った、漫画制作の裏話も興味深い。高校生を登場させる漫画の必須アイテムともいえる携帯電話の機種をどうするかという問題だ。長期連載になると、あまりに最新の携帯電話、スマートフォンの登場が不自然にならないよう気を配る必要もあったりと、描く側の苦労を窺い知ることができる。そういえば、最近の作品はすっかりスマホを持つのが普通になっていて、逆にガラケーを持つ登場人物が出てくる作品だと、時代の流れを感じるものだ。
☆過去の記事☆
『月刊少女野崎くん(1)~(4)』『月刊少女野崎くん(5)』『月刊少女野崎くん(6)』PR