東京タラレバ娘 東村アキコ 講談社 全9巻
アラサー女性の心を鷲掴みにして、ドラマ化もされた作品の原作最終巻。結婚という幸せに向かってひたすらに走っていたと思っていた3人は、まだまだこれからも自分なりの幸せを見つけるために走り続けるだろうという、爽やかなエンドとなった。
本作の素晴らしいところは、何といってもアラサー女性の心に突き刺さりまくる言葉の数々であろう。代表的なものは主人公たちの前に何度となく現れるイケメンモデルKEYの辛辣なコメントであろうが、同じ女性から発せられる言葉も十分に刺々しく、それでいて正論過ぎて誰も反論できないものが多い(批判はしたくなる人がいるとは思うが)。だからこそ、物語の締めくくり方は思った以上に希望を持たせるものにも思え、やや肩透かしを食らったような感覚に見舞われた読者もいるかもしれない。しかし、結婚だけが幸せではないというメッセージは随所に感じられ、進歩のない女子会から一歩だけ踏み出せば(これが作者なりには最も主張したかったことらしい)、目の前にはまた別の世界が開けるのではないかという気持ちでいっぱいになる。
ドラマから入ってきた私としては、原作の漫画の方がずっとえげつない部分もあり、原作をしっかりと読んでおいて良かったと思った。たとえあらすじとしては同じでも味付けはだいぶ異なり、何というか、辛さと苦みは原作の方が強いように思う。その点で、やはり1度は原作を読んでみてはどうかと薦めてみたくなる。
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