ラブラブエイリアン 岡村星 日本文芸社 既刊2巻
2016年7月から放映中のドラマにすっかりはまってしまって、原作へと流れついてきて出会った。作者本人は、本作をセリフが多くて読みにくい下衆な漫画と言い、単行本の発売すら奇跡という姿勢である。ところが、この漫画の存在を知り、本を手にした読者からはやがて大きな反響を得ていくことになり、ドラマ化まで実現したのだ。
タイトルからは、宇宙人が出てくるSFラブコメのようなものを想像すると思うが、実際は大きく異なる。物語の大半を占めるのが、手のひらサイズの宇宙人2体がたまたま不時着したアパートに暮らす、アラサー女子の言いたい放題会話劇である。もちろん、SF要素はゼロではない。宇宙人は、目的の人間を瞬間移動させてその場に呼んだり、人に本音を話させる本音光線を浴びせたりと、ドラえもんばりの働きを見せ、それが物語の展開上では必須の力となることも往々にしてある。しかし、基本は「女子の会話、時々宇宙人ならではのツッコミ」で見せる会話劇だ。
登場するアラサー女子は、調理師、美容師、歯科衛生士、検事。皆仕事は一生懸命やり、知性も感じられる(例えば、彼女らの相撲知識にはびっくりである)。変に男に媚びる奴なんてくそくらえという態度だし、芯の強さも持っている。だからだろうか、本音で相当な会話をしているはずなのだが、それが嫌味にならず、むしろスカッとした気分で読んでいられるのだ。
宇宙人も、基本は地球人を野蛮で知的レベルに劣ると見下し、「ココが変だよ、地球人」的な指摘をすることがあるが、真っ当な正論なので怒る気にもならない。NASAに連絡されることを極端に恐れたり、意外とアパートの面々に愛着を感じていたりと、可愛くて憎めない面もある。
3巻は出るのか。それが目下の心配事ではあるが、ドラマ化の流れにうまく乗り、何とか発売にこぎつけてもらいたいところだ。