あまんちゅ! 天野こずえ マッグ・ガーデン 既刊4巻
高校生、"てこ"と"ぴかり"による日常とダイビング部での活動を描いた物語の第4巻。作者の産休による休載を経て、約1年半ぶりの発売となった。
物語は夏休みを迎え、本格的にダイビングの季節に突入かと思いきや、何でもない夏休みの日々が圧倒的に多く描かれる。夏休み直前の学校での日常、夏休みのある1日など。日常の中のふとした瞬間に訪れる素敵な瞬間を切り取るうまさは、健在と言えよう。
4巻で注目すべきは、やはり最後の23話と24話であろう。第1巻の時点で触れられていた、てこの中学時代の友人、茜とちずるが、てこに会うために伊豆を訪れるエピソードが描かれる。
引っ込み思案だったてこが、ぴかりと楽しそうに過ごす様子を見て、嬉しさとともに寂しさを隠しきれない、友人。時の変化と一緒に訪れる人間関係の変化も、肯定的に見ていこうという気持ちに至る結末が、青春の1ページを飾るに相応しい。そして何より、茜とちずるが、作者の前作『ARIA』の登場人物、灯里と藍華を髣髴とさせる点が、天野こずえ作品のファンとして嬉しい。
学校の張り紙や駅の広告にも、さりげなく『浪漫倶楽部』や『ARIA』のキャラクターが登場しているなど、遊び心も満載。夏休みの後半には海での活動も多く描かれることを願い、5巻の発売を気長に待つ。
◆過去の記事◆
『あまんちゅ!(1)(2)』『あまんちゅ!(3)』PR