彼女のひとりぐらし 玉置勉強 幻冬舎 全3巻
輿水理香は、26歳独身。フリーのイラストレーターをしながら、気ままな独り暮らしをしている。おひとりさまの切なくて愛おしい日常を描いた物語の3冊目にして最後の単行本。
ついに終わってしまったのかという残念な気持ちだ。3巻でも、独り暮らしの楽しみ、苦味が余すことなく描かれている。
ふと思い立って、三浦海岸まで出掛ける話、ひとりで初詣に出掛ける話、そして足を捻挫して途方もない辛さに遭う話… そのどれもが、独り暮らしの気楽さと、その裏にある孤独感や切なさを見事に表現している。主人公の姿を見ていると、時に笑い、時に共感し、時に胸がキュンとなる。
これまでのような流れがずっと続くかと思っていると、物語は妹の結婚式をもって最終話を迎える。この最終話が、なかなか味がある。普段気ままに生きる主人公は、決して自分の生き方に負い目を感じているわけではないのだが、いざ大企業に勤める妹の結婚式の場に居合わせてみると、いたたまれない気持ちになってしまう。その後、主人公なりに妹を気遣い、メールを送るのだが、その内容に涙する妹を見て、私自身込み上げてくるものがあった。
3年間の連載を経て、終了に至った本作品。残念ではあるが、主人公のおひとりさま生活は、まだまだ続きそうな気がする。最後に、輿水理香にエールを贈りたい。
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