たらのめ高校吹奏楽部 たかなしせーじ マッグガーデン 全1巻
たらのめ高校吹奏楽部は、毎年全国大会に出場するほどの強豪であるにもかかわらず、部内は変人の巣窟であった。変人達の繰り広げる日々の風景、コンクールでの様子を描いたギャグ漫画。
吹奏楽部漫画でありながら、楽器が出てくることが少なく、ほとんどは部活で集まった人間同士のおバカなやり取りで構成されている漫画。比較的まともと言える1年サックス蕨原と井上を主役に据え、変態の別所、あだ名が部長の浅尾、顧問の真木先生を交えて、日常のドタバタが描かれる。正直、吹奏楽部漫画としての期待を持って本作を手にした人は、あまりに楽器と離れた話が多く、面食らってしまうだろう。特に、楽器を描くのが面倒になったという事情から発想を得たという、楽器にすべてモザイクをかける第9話(本作の数え方では「第9小節」)など、賛否両論を巻き起こすに違いない。
作者は吹奏楽部出身らしく、練習風景やコンクールでの様子など、時折そのような背景を持った人にしか為し得ないような描写があり、真面目にやれば、それに見合った真面目な作品になったとも思えるのだが。2年生サックス別所の変態ぶりが歯止めを知らず、1年生トロンボーン3人組の暴走が恐ろしい。そして、フルートやクラリネット、トランペットは完全なモブキャラ扱いで、名前を持った人物が登場しない。せっかく、先輩と後輩の心温まる話もあるのに、部活漫画としての雰囲気が崩壊してしまっている。
ギャグ漫画としては楽しめる内容もあるので、作者にはまた趣の異なった吹奏楽部漫画を描いて、自らの経験を存分に発揮してもらいたいと心から思った。
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