魔女の心臓 matoba スクウェア・エニックス 既刊1巻
しゃべるランタンとともに旅をする少女ミカは、心臓を持たない不老不死の魔女。自らの心臓を預かる妹を探して旅を続けている。妹を見つけて心臓を手にした時が、魔女が死を迎える時を意味する。果てしない旅を続ける魔女が、旅先で出会う人々とともに紡ぐ物語。
以前、ガンガンオンラインで『ほしのこ!』を連載していた作者による新作は、中世ヨーロッパを舞台にしていると思われる、ファンタジーもの。魔女が旅の道程で出会う人々と関わることで生まれる温かいストーリーが中心だが、根底にあるのは、生でも死でもない「境界」を生きる魔女の苦悩と、その魔女が死に辿り着くために続ける旅という、重いテーマである。生を全うできずに死を迎える人間と、望んでも死を迎えられない自分との対比を意識せざるを得ないミカ。こういった、魔女の持つ深い悲しみが、読者の心を揺さぶる。
少女漫画でも通用するような作画は、ファンタジックな物語とマッチしていて、非常に良い。1話完結が基本だが、1巻の最後は次に続く形で終わっている。2巻の発売が楽しみ。
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