Doubt! 天乃咲哉 アスキー・メディアワークス 既刊2巻
父親から、借金返済と引き換えに隠し子である自らの妹を探すように頼まれ、突如高校への入学が決まった17歳の神埼イチル。これまでなかなか遭遇すらできなかった3人目の候補、立花彪との接触を求め、学校中に爆弾を仕掛けた犯人探しに奮闘する。その他、水木真魚とのデート、藤堂飛鳥とのマルチ商法に関わるやり取りから、他の2人の候補とも急速に仲を深めていくのだった。そして、今回は新キャラとなる従妹の神埼廻が登場。ますます賑やかになる第2巻。
3人目の候補と初めての接触があった第2巻。父親を追ってやって来たという立花彪だったが、詳細は謎。結局、接触が少ないまま彼女との駆け引きはお預けになってしまった。イチルに一旦は心を開いたように見えたのだが、父親の話になると急に態度を変える彪。その謎の解明にはもうしばらくかかりそうだ。
一方、イチルは他の2人とは着実に距離を縮めていく。皆の前では王子を演じているのに、イチルの前では臆病な子どものように振る舞う真魚に、マルチ商法から母親を救ってもらうことで、ますますイチルを心の支えとしていく飛鳥。しかし、従妹の廻は忠告する。イチルが関わることで、妹探しの事実など何も知らない彼女達が辿ることになる悲しい運命を憂えて。彼女達の中では、すでにイチルが大きな位置を占めているが、それはイチルが妹探しという目的のために、心理分析を駆使して心の隙間にうまく入り込んだからに過ぎない。身内にはあくまで冷徹な自分を貫き通すと宣言するイチルだが、彼の内面には明らかに変化が生じている。妹候補達の幸せと自らの使命の間に挟まれることになるイチルのこれからにも注目していきたい。
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