私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 谷川ニコ スクウェア・エニックス 既刊5巻
アニメ放送も好評を博し、知名度もアップした「ワタモテ」。ぼっちでかつ異性にモテない喪女、黒木智子(もこっち)は、高校生活2年目に突入する。
切ない中にも、ほろっとさせるエピソードがあって、ぼっち描かせたら谷川ニコの右に出る者はいないなと思わされた。特に巻頭の第37話は印象的である。卒業式後、皆が感動の別れを交わす中、独りぼっちでいる3年生を見つけたもこっちは、その存在に2年後の自分を重ねる。たまたま話をする機会に恵まれ、写真まで撮った後、2人は別れる。ぼっち同士で何となく心が通い合ったかのような2人は、また別の道を歩み始める。感極まって涙を流し、打ち上げに出かけていく「リア充」達には思いもよらない、切なさと虚しさを描いた屈指のエピソードである。また、カフェで仕事をサボってアニメを見るサラリーマン(しかも必ず2話しか見ない律儀な人物)と、もこっちとの心の交流を描いた第44話もお気に入りだ。1年前と変わらないように見えて、実は変化を求めていて、行動も起こしているもこっち。その分だけ、心に響く切なさに溢れたエピソードが多いように感じられた。
◇過去の記事◇
『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1)』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2)』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(3)』『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(4)』PR