アンの世界地図~It's a small world~ 吟鳥子 秋田書店 既刊2巻
酒浸りの母親のもとから家出したロリータ服の少女、アンは、家出先の徳島でアキと出会う。古民家でアキとともに暮らし、様々なことを学ぶにつれて、そして、近所に暮らすマサキやキヨヒコといった男性との交流もあり、アンの世界は少しずつ広がっていくのだった。さらには、アンは割ってしまったお茶碗の代わりを見つけようと訪れた店先で、ドイツ人の幽霊にまで出会う。
2人の少女の徳島生活日記の第2巻が発売された。都会で育ったアンにとっては、アキが身につけてきた田舎で質素に暮らす知恵はどれもが新鮮で、驚きの連続だった。そして、非常にアクが強いのが、近所に暮らすマサキとキヨヒコだ。不良少年だったが、マサじいの教育を経て雀鬼へと成長したマサキは、人間に対する理解が深く、彼の言葉には常に温かさと重みがある。一方、キヨヒコは大きな神社を持った神主のもとに生まれたため、アンとは正反対に裕福で躾に厳しい家庭教育を受けてきたが、それゆえに息苦しさを感じている。アンとは好対照をなす人物だ。
そして、物語は急展開を迎える。きっかけは、アンがアキのお茶碗を割ってしまい、新しい茶碗を買おうと地元の陶器店に出掛けたことだった。店員がいないため、1度は入店を諦めたアンだったが、店のそばの洞窟に入り、ドイツ人の幽霊と出会う。その幽霊が話すことは、どうもアキの出生の秘密へとつながっていきそうな内容だ。物語は過去のドイツへと舞台を移す。
愛情に飢えたアンのもとに、幸せが訪れる日を祈る思いで3巻の発売を待つ。
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『アンの世界地図~It's a small world~(1)』PR