せっかち伯爵と時間どろぼう 久米田康治 講談社 既刊5巻
各時代の様々な地域に点在し出現する時間旅行者である上人類の底辺に属するサンジェルマン伯爵が、現代に暮らす人類のもとに降り立ち、次元の違いについて語る物語。伯爵の妹であるミチルの時命(寿命)はもはや尽きようとしていた。最後の時を、愛する卓とともに過ごそうと決意するミチルの姿を見ていて居たたまれなくなった伯爵は、妹に思い出を残してやりたいという思いを胸に、残された命を使って決死の時間旅行に出かける。
いよいよ物語が終盤に向かって動き出した。果たしてサンジェルマン伯爵は自らの希望を果たせるのだろうか…というところで第1部が完結となった。これまでの1年間を再び過ごし、妹に思い出を残そうとするのだが、ここにきて打ち切りが決定(巻末の作者コメントで自虐的に発表される)。サンジェルマン伯爵の命という意味でも、連載に残された時間という意味でも、残りはわずかとなった。過去への時間旅行に関してはSF的な設定も持ち出して面白いところだったのだが。
卓が人類、上人類をも超えた長寿の人種であったという事実も発覚し、様々な点で終盤に向けての材料が出揃ってきたように思う。結末がどのようになるのか期待しつつ、第6巻の発売を待つ。
◎過去の記事◎
『せっかち伯爵と時間どろぼう(1)』『せっかち伯爵と時間どろぼう(2)(3)』『せっかち伯爵と時間どろぼう(4)』PR