瑠璃宮夢幻古物店 逢坂八代 双葉社 既刊2巻
美人店主、瑠璃宮真央が営む古物店は、人間が長く使うことで不思議な力が宿った道具を売っている。その店にやって来て道具を手にした人々は、大きな力を手にする。しかし、利用の仕方は本人次第であり、使用者は取り返しのつかない破滅の道へと堕ちていく危険とも向き合わなくてはならない。本書は、瑠璃宮と古物店に集まる人々の交流と、道具を手にした人間の結末を描く。
第1巻では、不思議な小道具を失ったせいで家族が崩壊してしまったエピソードが描かれた。第2巻では、その家族から逃げてきた少女、白石要も店員として加わる。自らも古物によって悲惨な運命をたどった要は、自分の力で古物に関わる人々のことを救いたいと思い、瑠璃宮古物店で働くことを決意したのだった。しかし、人を救うという行為は現実には容易なことではない。第1巻と同様に、各々の人間が道具をどう使うかについて道標を示すべきなのか、それとも人間の自由意思に任せるべきなのかという問題にぶつかる。他人の生きる道を支援したいという気持ちは、称賛すべき利他主義と言えるのか、それとも己の価値観を押し付けるパターナリズムに過ぎないのか。考えさせられる。
そして、第2巻から登場する謎の人物が、青木紀子という名の少女である。小道具によって苦しめられている人々のもとに現れ、道具を使う前まで記憶を巻き戻すという特殊能力を使って問題を解決しようとする。瑠璃宮をひどく恨んでいること、第1巻に出てくる不思議な鏡によって醜い顔に変貌させられた姉妹の苗字は「青木」であったことを勘案すると、行方をくらませた姉の変わり果てた姿という可能性もある。
謎多きダークな物語の続きが気になるところだ。
◎過去の記事◎
『瑠璃宮夢幻古物店(1)』PR