からかい上手の高木さん 山本崇一朗 小学館 既刊6巻
マンガ大賞2017にノミネートされ、アニメ化も決定するなど、旬の作品。中学生の男子、西片が同じクラスで隣の席に座る女子、高木さんにからかわれる日々を描いた作品である。
一見すると単調になりそうだが、高木さんのからかいは毎回最後になるまで真意がわからず、それでいて男の子をドキッとさせる発言や行動に溢れていて、読者を魅了して止まない。高木さんは、自分でも言っている通り絶対に嘘をつかない。だから、からかいの雰囲気を出しながらさらっと西片への好意を示すこともある。その姿は見ていて本当に微笑ましく、それでいて男心をくすぐる破壊力抜群の魅力を備えている。そんな女の子と一緒に帰ったり、学校内で話をしたりと、西片は傍から見て羨ましい限りなのだが、彼はまだ高木さんに抱いている恋心には気付かず、高木さんからからかわれることを本気で悔しく思い、リベンジしてやろうと考える日々を過ごしている。
物語の舞台は、現代というよりは20代、30代が中学生だった頃を思わせるような時代の田舎だと思われる。この舞台設定も非常に巧みで、20代、30代の人が当時にタイムスリップしたかのような感覚を呼び起こさせるのに一役買っている。現役の中高生が読んでも面白い漫画だとは思うが、それ以上の年代の人間が、自分の中学生時代にこんなやり取りをしてみたかったと思って、本作に惹かれていく部分もあると思う。
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