電波教師 東毅 小学館 既刊4巻
鑑純一郎は、アニメ評価ブログを日々更新するオタクで、やりたいことしかできない病(通称YD病)の持ち主。しかし、実は、過去にはあの「どこでもドア」を作れることを示したことのある天才である。変わり果てた天才の姿に呆れた妹の純音は、兄に教師の道を紹介する。かくして教師としての道を歩み出した純一郎は、独自の教育を展開し、徐々に生徒の信頼を得ていくのだった。悩める生徒とオタク教師に化学反応が起きる。
2012年は、また新たなる魅力的なトンデモ教師を生んだ。普段はアニメ評価ブログでアクセスランキング1位を目指して奮闘し、学校でもオタクであることを隠さない。行動原理は自分にとって面白いかどうかでしかないし、大掛かりで突拍子もない行動ばかりをしている。しかし、最終的には見事に生徒が内面に抱える問題を克服しているのが彼のすごいところ。
しょうもない教師に見えることも多々あるが、それでも日々活き活きとしている鑑の姿は、本当に眩しい。技術に強く、クラス専用のオンラインゲームや、試験対策用のアプリまで開発してしまうが、それもすべては義務感からではなく面白いと思う気持ちから。また、試験対策用のアプリが批判された中で行った演説は、「自分の将来に必要な勉強に集中し、自由を手に入れろ」というメッセージを込めたもので、正直その言葉には痺れた。その他にも、生徒の心に染み渡っていく言葉の数々には、惹き付けられるものがある。
こんな教師ばかりでは学校が成り立たないだろうが、こんな教師が1人くらいならいて欲しいと思わずにはいられない。
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