もうそうのアキ たら子 マッグガーデン 既刊1巻
坂本アキは、23歳のフリーター。恋に恋焦がれる乙女だが、イケメンに出会うと妄想を膨らませてしまい、現実の進展はゼロ。だから、なんだかんだで、恋人いない歴=年齢という始末。男を狙って平気でバイトを転々とする日々を過ごしていた。しかし、仕事探しをしている途中で、勘違いのもと偶然連れて来られたバイトの面接になぜか受かり、雑貨店で販売の仕事をすることになった。一見チャラそうに見える潔癖症男、喜多見に、人柄の良い館山、背が小さく童顔だが、実際は年上の久我山と、個性豊かな男性に囲まれ、初めて男性との現実的な関わりの中に放り込まれたアキの運命はいかに。
最近本当に、残念な女性と言うべきか、喪女と言うべきか、そんな女性を主人公に据えた漫画が増えてきたように思う。本作もその一種で、決して可愛くないわけではないのに、とんでもない妄想癖で男ができない女性の物語。電車で年下と思われる可愛い男の子を見つけたり、喫茶店のイケメン店員に出会ったり、きっかけさえあれば、アキの妄想スイッチが起動する。よだれを垂らしながら、少女漫画か恋愛シミュレーションゲームのような台詞やシチュエーションを妄想する主人公の姿は、痛々しいが、笑いを誘い、そして何よりも愛おしい。
そんなアキを周囲で支える女性達がまた魅力的だ。お決まりの喫茶店で会って話をするメンバー、とーこ先輩は、クールでたまに毒を吐くナイスキャラ。同い年のなつおは、危なっかしいアキのことをいつも心配してくれる優しい人。バイト先の教育係、三門のサバサバしたキャラクターも良い。魅力的な女性達に囲まれて、アキも少しは成長できると良いのだが…
まだまだ、恋愛に発展という段階ではなく、物語は始まったばかり。序盤のアキの妄想ぶりを描いた数話も面白いが、やはり雑貨店のバイトが始まってからの展開の方が、動きがあって面白い。これからが楽しみだ。
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