カラフル・クロウ 秋乃茉莉 秋田書店 既刊2巻
和歌山から東京へと転校してきた、短ランを着た絶滅危惧種ヤンキー、鈴木宙と、烏守神社を守るカラスのクロウの物語の第2弾。宙は、同じ学校に通う二宮みことと知り合う。みことは、近所の八幡神社の跡取りとして育てられている少女であった。烏守神社を守るべく、宙は新たな味方を得て奮闘する。一方、宙が惚れ込んだ学級委員長の立花沙織の秘密が明かされたりと、注目すべき点も多い2巻。
今回も、楽しい話やちょっと良い話が盛りだくさんの展開だった。2巻の第1話からは、宙にとってのもう1人の重要人物となる二宮みことが登場する。妖怪を見る霊力をもった彼女は、その能力を嫌っていたが、人に色が見えるという宙の能力を知り、宙に励まされたのをきっかけに、本来持っていた明るい部分も発揮できるようになる。立花沙織も交えた三角関係がここに成立する。
一方、立花の方は、烏守神社を取り壊してマンションの建設を進めようとしている立花建設の娘であることが判明する。これまでも、何となくそれを匂わせるような描写はあったが、初めて真実がわかるようになる。
宙と立花による生徒会長選挙の話やマンションのお祓い、神社のパワースポットとしての売り出し計画など、それぞれのエピソードが面白い。これらの経験を通して、宙が少しずつ東京での生活に馴染んでいく姿を見届けるのも、読者としての楽しみだ。時代錯誤ヤンキーだからこそ、人情に溢れ、周囲の人を惹きつけるのかなと思った。ちなみに、宙は定期試験の理数系の科目はすべて満点で、実は頭脳面も優れていた。『ヤンキー君とメガネちゃん』もそうだったが、イマドキのヤンキーは勉強ができないと支持されないのかなと思ってしまった。
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