ピカ☆イチ 槙ようこ×持田あき 講談社 全7巻
「常に人のために」「友を大切にする」「正々堂々とする」を生徒心得とする都内有数の名門校、愛種高校に惚れて入学した鈴木太郎、鈴木花子の2人が、特進クラスの生徒が成績最下位層の生徒に対して凄惨ないじめを平然と行うところを偶然にも目撃し、仲間と共に学校の不正と闘う物語。名門校の裏に隠された裏口入学の不正やいじめの現状が世に暴露され、愛種高校は廃校の危機にさらされる。絶体絶命のピンチの中で、2人が下した決断はいかに。
地味な男女が派手な姿に変身して学校の不正に立ち向かう物語はクライマックスを迎えた。敵対関係にあり学園を牛耳っていた道玄直治は、1度は学校の破壊行動へ向かうものの、花子と太郎の行動に心打たれ、徐々に心を入れ替えていく。そんな中で起こったのが、学園の不正問題である。皆が学校の存続を諦めかけた時、花子たちは立ち上がった。生徒が理事会と校長・教頭職を担い、学校の変革に努め、愛種高校を変えていく。その過程では学校の意義やあり方が問われ、読者もまた学校の役割について考えさせられる。現実とは程遠い学校運営かもしれないが、こんな学校が1校くらいあっても良いのではと思わせてくれるエピソードだった。
花子と太郎の恋愛については最後まで深入りせずだったが、きっと2人は夫婦で理事長となり、理想の愛種高校を作り上げていくであろうし、周囲にはかつての仲間達が同じように傍で支えとなってくれるのだろうと思った。少女漫画でありながら教育問題にも意見を投げかける意欲作だった。
☆過去の記事☆
『ピカ☆イチ(1)(2)(3)』
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