せっかち伯爵と時間どろぼう 久米田康治 講談社 全6巻
サンジェルマン伯爵が現代に暮らす人類のもとに降り立ち、早1年。伯爵の妹であるミチルの時命(寿命)は尽き、伯爵はミチルを救うべく、1年前に戻るという時間旅行を始める。しかし、始めてみると、何だか変な感じの旅だった… そう、その旅とは、並行世界を股にかけ、理不尽な作品打ち切りエンドを回避し、物語を無事に着地させるための旅だったのだ。
打ち切り確定から続いた旅を収録した最終巻。打ち切りを意識しての展開なので、もうこれで終わるという自虐的な雰囲気に満ちた展開であった。それでも、最後にミチルと伯爵が選んだ結末は、希望に満ちた、それでいて微笑ましくもある結末で、伯爵が求め続けた大団円に値するものだったのではないかと思う。
下ネタ解禁が魅力というか、特徴の本作だった。が、やはり伯爵と卓の旅を完結させた作者には、講談社からの旅立ちが待っていたようだ。次は活躍の場を白泉社に移すという情報も入っているが、次回作はどうなることか。いつか、どこかで、また久米田作品に出会えることを信じて、本作のレビューを終わりたいと思う。。
◎過去の記事◎
『せっかち伯爵と時間どろぼう(1)』『せっかち伯爵と時間どろぼう(2)(3)』『せっかち伯爵と時間どろぼう(4)』『せっかち伯爵と時間どろぼう(5)』PR