女王様の絵師 私屋カヲル 双葉社 既刊1巻
とある地方都市の平凡な高校に通い、漫画家として身を立てようと燃える(が才能に乏しく成績も留年が心配されるレベルの)藤井真紀のクラスには、対照的な生徒である雪森れいかと永瀬サリナがいた。れいかは成績抜群な一匹狼であり、サリナは派手でセクシーな見た目の幼馴染み。そんな、同じクラスにいながらまるで違う世界に生きるように思える3人だったが、ひょんなことから漫画同好会を結成することになる。「こどものじかん」の私屋カヲルによる最新作。
ちょうど「こどものじかん」がラストで高校生になったりんたちを描いて終了したので、まるでその後の学年を引き継ぐような形で始まった本作。相変わらず、下ネタギャグとたまに入ってくるシリアスとで構成される物語展開は、作者の得意分野と言えるだろうか。漫画同好会と言っても、主人公達が描こうとするのはエロ漫画であるだけに、下ネタが飛び出す環境としては申し分ない。れいかのドSぶりにエロへの執着、サリナの幼馴染みに対して抱く恋心ゆえの大胆な行動など、2人の女王が普段は表に出さないぶっとんだ面で構成されるギャグが本作最大の売りである。さらに、漫画同好会の顧問となる数学教師の宮島のキャラクターと経歴が良い味を出している。プロの漫画家としての生活に行き詰まり、仕方なく派遣の教員としての業務を淡々とこなす宮島だったが、漫画同好会との出会いをきっかけに、彼は忘れ去った情熱の炎を再び燃やすことになる。
物語は、学校内で漫画同好会の地位を確立させるべく、新人賞受賞を目指す展開となる。新たな私屋カヲルワールド、楽しめそうである。
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