外つ神 斎藤岬 幻冬舎 既刊3巻
霊や悪霊である外つ神が出てくる塚を守るのが、外つ神守。高校生の鳴神匡は、祖母の死をきっかけに、突如外つ神守としての役割を任されてしまうことになる。同級生の野々宮千景、副担任の狐塚嵩臣、その従妹の咲、狐塚の友人のヴァンパイア・クォーターの百鬼冬麻らとともに、匡は鳴神家としての責任を果たすべく、地域の妖退治に奔走する。
妖怪退治の漫画だが、メインの登場人物の組み合わせが面白い。高校生の主人公(男子)、その同級生(女子)、クラスの副担任、その従妹と友人。しかも、同級生以外は、皆主人公の同居人となる。これが、同年代が集う不思議な部活という設定だったら、無数にある部活漫画の中に埋もれてしまったかもしれない。外つ神守を担う家は、全部で12あるという。2巻・3巻では天生家が登場し、3巻の終わりでは御厨家の人物が姿を現した。外つ神守の権力闘争もある模様で、今後争いがどのように描かれるのか、楽しみ。
スタイリッシュな絵で、妖怪ものに相応しく、少し重い感じの雰囲気が全体を通して醸し出されている。それでいて、案外表情豊かな主人公によって、雰囲気が重くなりすぎないようになっている。クールな千景も、「鳴神君といるとドキドキする」(恋愛感情ではなく)とサラッと言ってしまう辺り、実は天然なのか。そして、妖怪退治ものとは思えないくらい、カラフルな表紙も、ギャップがあって面白い。
主人公の腰にある痣に込められた封印、強大な力を誇るという狐塚家など、まだまだ謎も多い。地味ながらも、ちょっと変わった組み合わせの人間が集まる物語を楽しみたい人にお薦め。
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