青春フォーゲット! 岬下部せすな 双葉社 全4巻
思ったら一直線の高校生、奈月太陽と、日々の記憶をリセットしながら生きる少女、日向こかげが織り成す青春ラブコメの最終巻。こかげの記憶リセット問題は快方に向かい、平穏な恋愛生活が始まるかと思いきや、こかげが太陽と楽しい時間を刻むに従って、こかげの記憶までも消去されてしまうという悲しき運命が明かされる。そんな折、ライバル霧島海詞が、太陽争奪戦に本格参入。すべてに決着の着く最終巻となった。
一難去ってまた一難の2人。そして、今度の衝撃は大きく、さすがの太陽も落ち込んでしまう。また、自分が原因で太陽が傷つくことを恐れ、前に踏み出せなくなるこかげ。しかし、今まで必死になってこかげを照らしてきた太陽の努力は無駄ではなかった。やはり太陽のことが好きという気持ちに嘘がつけないこかげは、自分の記憶を犠牲にしても太陽と関わる覚悟を決める。
これまでは、、「奈月太陽」がまさに名前のように太陽として「日向こかげ」の「こかげ」を照らす関係のみだったが、ここにきて、「日向こかげ」の苗字「日向」の部分が「奈月太陽」という「月」を照らす関係も生まれる。双方に照らし合える関係になった2人は強く、障害を乗り越えるのに十分な力を発揮できた。
最後に太陽がこかげの記憶リセットを止める秘策を実行するが、それは読んでのお楽しみ。完璧な女性である霧島海詞も、本当に良い役割を果たす、とても魅力的な存在だった。疾走感溢れる中で迎える大団円は、爽やかな後味。
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『青春フォーゲット!(1)』『青春フォーゲット!(2)(3)』PR