ディメンションW 岩原裕二 スクウェア・エニックス 既刊4巻
コイルという発明品により新時代を迎えた21世紀後半を舞台にした、不正コイルの回収屋、マブチ・キョーマと、ロボット、ミラによる、コイルの謎を追う物語。3巻と4巻では、湖の孤島にある八十神ホテルで起きた小説家怪死事件の謎を追う。この事件の裏には、コイルのエネルギー源である次元Wの秘密が隠されていたのだった。
初めは謎解き風の導入で、物語世界との関係が把握しづらかった怪死事件だったが、ページを繰るごとに、徐々にコイルの問題が浮かび上がってくる。2巻で出てきたルーザーが口にした「ナンバーズ」と呼ばれるコイルの謎に、いよいよ迫ることになった。
エネルギー問題を解決したように思えたコイルの発明だが、コイルを支える力には、次元Wという人智を超えたとんでもない神秘があった。その力を制御するのが難しいゆえに、回収することになったのが、「ナンバーズ」であったのだ。もはや物質世界までも超えているような次元Wは、とても人類が扱えるような代物ではない。科学技術の発展によって莫大な恩恵を得た未来の人類だったが、果たしてそこまで踏み込むことは人類に許されていたのだろうか。八十神編を読みながら、そんなことを思った。
◇過去の記事◇
『ディメンションW (1)』『ディメンションW (2)』PR