カラフル・クロウ 秋乃茉莉 秋田書店 既刊1巻
和歌山の高校から東京の高校に転校してきた鈴木宙は、ブレザーの制服の中で1人だけ短ランを着こなす一昔前のヤンキー気取り。関東制覇を目指して上京するも、学校の生徒からは相手にもされない。生まれつき、人間の放つオーラや人間の感情が色になって見える宙にとっては、新しい高校の生徒は彩の一切ない灰色に見えている。
ある日、宙は携帯電話を紛失し、拾ってくれた人物の指定するところへ向かうと、そこは烏守神社という寂れた神社だった。宙は、クロウ(九郎)と名乗るカラスに出会い、神社の後継者となる誓約をする。宙は、神社を取り壊してマンションを建てようと目論む建設会社と戦い、神社を守るべく奮闘することになるのだった。
義理と人情にもろい時代錯誤のヤンキーがカラスと友情を育むという、コミカルな設定の物語。宙の時代にそぐわない格好の付け方が笑いを誘うとともに、どこか温かい気持ちにもなる。商店街のおじさんやおばさんまで巻き込んでマンション建設反対の運動の先頭を切る姿など、なかなか良い奴じゃないかと思ってしまう。
そして、本作のもう1つの面白さは、宙とクラス委員長である立花の掛け合いだ。灰色に見えるクラスメイトの中で唯一ピンクの鮮やかなオーラを纏っていたのが、委員長の立花であり、宙はそんな立花に興味を持って、何かとちょっかいを出す。ヤンキーの男の子と学級委員長の女の子という、少女漫画の王道とも言える組み合わせだが、ヤンキー君が時代遅れの分だけ、面白さが増す。今後が楽しみな作品。
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