機械仕掛けのメルディーナ 宮ちひろ 双葉社 全2巻
人間からは距離を置き、機械にしか心を開かなくなった少女、メルディーナが出会った巨大機械が破壊されてから2年。メルディーナは姿をくらませていた。一方、メルディーナのことが気になるアリサは、彼女を探していく中で、やがて人格を付与された機械である【女王】に関わる陰謀に巻き込まれていく。
第1巻が発売されてから数か月で、本作は打ち切りの宣告を受けることとなってしまった。作者と編集部の間で何があったのかわからないが、第2巻の半分以上は打ち切りを意識した駆け足展開で描かれることになってしまった。
メルディーナは、自身が機械と人間の中間に当たる存在で、かつて消滅したマキーナは、彼女の人格そのものだった。したがって、現在のメルディーナに、かつてのような人格はない。マキーナの行動は、すべて彼女の望み通りになるという。それならば、人格の消滅も、彼女が願ったのか。父母の思惑とそれに対する反対勢力、そして【女王】の意志など、様々なものの間に立たされた彼女が辿る運命は、とても悲惨なものだった。そんな中でもメルディーナを終始信頼し、好きであり続けたアリサの存在は大きかった。
【女王】の力は強大で、人類を殲滅するまでの威力を抱えていた。しかし、世界をどうするかの最後の決定権は、人類あった。アリサがひたすらに望んだ平和な世界が実現して、物語は終局を迎える。
表紙の期待を裏切らない素晴らしい作画で、作品の世界観も好きだっただけに、駆け足展開が残念。作者の次回作に期待したいが、しばらく商業誌はお休みにしそうな感じもする。
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