もうそうのアキ たら子 マッグガーデン 既刊2巻
23歳のフリーター、坂本アキが。生来の妄想癖を発揮し、恋人いない歴=年齢という現実に立ち向かう物語。雑貨店での販売の仕事にも徐々に慣れ、仲間とも楽しい日々を過ごすアキだったが、先輩ながら年下の大学生である館山のことが気になり出す。そして、館山本人からデートに誘われるのだったが、その進展はいかに…
アキと館山の恋愛を軸に置きつつ、バイト仲間との楽しい飲み会を通してアキが自分の居場所を見つけるエピソードも描かれ、充実の内容だった。妄想に取り込まれ、現実の世界から一瞬意識を飛ばすアキの姿、そして彼女の妄想の世界で展開されるストーリーが、イタくもあり、時には爆笑も誘う。特に印象に残っているのが、アキが館山と一緒に電車に乗る場面の妄想。混雑した車内で男が女を守るという、周りに花でも描かれそうな少女漫画の典型とも言える場面にも関わらず、何人もの同じ顔をしたオジサンが電車に乗り込んでくるシュールな描写と組み合わせてある。まるで、それが妄想であるということをあからさまに知らせるかのように… 館山とアキの噛み合わない会話の展開にも笑いを誘われた。
相変わらず、アキの周囲を支えるのは、ナイスなキャラ達だ。バイト先の三門、阪東の女先輩2人は、いつもアキの見方であり、もちろん、学生時代からの友人であるとーこ先輩になつおも、アキを心配しながらも応援し、励ましてくれる。そして、密かなイケメンが、1巻の終わりの方から登場した久我山だ。一見すると、何も考えていなそうで、虫に目がない変わり者だが、肝心なところで手を差し延べてくれるのは、いつも彼だったりする。そんな彼の良さにアキが気付いてあげればいいのにと思わずにはいられない。
正直、1巻を読んだ時には、ここまで面白くなるとは思っていなかった。ぶっとんだ主人公の性格に、頭の中で描かれる妄想の世界がありながらも、時にほろっとさせられたり、心温まる場面もありで、充実の内容だ。
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