xxxHOLiC CLAMP 講談社 既刊15巻
四月一日君尋(わたぬき きみひろ)は、アヤカシが見えるという自分の持って生まれた性質に悩んでいた。ある日、ふと通りかかった店に誘われるように入っていくと、次元の魔女と呼ばれる侑子の元に辿り着く。その店は、願いを叶える店。対価さえ払えば、どんな願いも叶えられる。四月一日は、アヤカシが見えないようになりたいと願う。しかし、その対価は相当なものであり、その対価を支払い終えるまで、四月一日は侑子の店で働くことになってしまうのだった。侑子の元には、様々な客が訪れる。心に何かを抱えた人、解決して欲しい事件を抱えた人、人間以外のものも。四月一日は、バイトという名目で、侑子に付き合わされたり、客の元に送られたりして、客の対応を手伝わされる。その中で、四月一日は時に不思議な、時に教訓的な出来事に出会っていくことになる。
各話、何かと考えさせられる要素があるのが、魅力的な作品。オカルトファンタジーと称される作品とはいっても、扱われるテーマは普遍的なものである。人間の心の暗部、ことばに縛られる人間、動植物に対する人間の驕りなど。例えば、どんな願いも叶えるためには対価が必要で、うまい話など、そうあるものではないというテーマは、多くの依頼人に共通している。対価が必要だということを理解できない、あるいはわかろうとしない人間に待つのは、厳しい未来である。対価が必要な点では、四月一日も例外ではなく、彼は毎日のように侑子の店で働く。また、アヤカシを遠ざける能力を持つのは、自分の嫌いな百目鬼という男である。それでも、四月一日はめげずに日々の労働をこなす。対価を支払おうと勤しむ四月一日に明るい未来は待っているのか。
その他にも、狐のおでん屋、座敷童のバレンタインチョコなど、微笑ましいエピソードもある。
各巻とも、装丁に凝っている点が特徴。作品の妖艶な雰囲気を反映した表紙は、非常に綺麗である。本全体が雰囲気作りに貢献している。
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