シューピアリア・クロス ichtys スクウェア・エニックス 既刊1巻
人間と魔物が戦う世界に生きる勇者、エクサは、魔王討伐に立ち向かおうと決意する。魔王、シーラは、生きるものを殺すことに疑問を持つエクサの生き方に興味を持ち、自らの正体を隠して勇者と共に旅を始める。ところが、旅を続けるうちに、勇者への恋心が芽生えていく。本来の敵同士が繰り広げる、禁断の恋の物語。
圧倒的な画力が魅力なのが、この作品。エクサとシーラの関係だけでなく、人間と魔物のクォーターのアンジェリカや、貧乏育ちのラクシュリなど、自らの出自に苦しむ人物が多く登場するという特徴がある。生まれという、変えられない宿命とどう向き合っていき、自分をどう受け入れていけば良いのかという点が、作品の重要テーマのひとつとなるだろう。この巻では、魔物の血が入っているゆえに人間に虐げられてきたアンジェリカが、祖父である魔物と出会う話が切ない。
そして、本筋である、勇者と魔物の恋の行方はどうなるのだろうか。シーラは、いちいち完璧な勇者に対して好意を抱く一方、悩みをひとりで背負いこみ、皆の前では完璧な勇者であろうと努めるエクサの姿を見て、相手の格好悪いところも含めてすべて受け入れたいと密かに思う。エクサも、徐々にシーラへの想いに気付きつつある。2人の行く先に待つのは、明るい未来か、それとも悲劇なのか。今後の展開に注目していきたい。
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