魔法行商人ロマ 倉薗紀彦 小学館 既刊2巻
欲望を抱えた人間のもとに、魔法具を売り歩く少女、ロマとその手下、ミィノが絶好のタイミングで現れ、人間の欲望を叶える。2人が求めるのは、金銭ではなく、人間の欲望(クレシャ)。欲望に溺れるか、それ以上の大切なものに気付くのかは、それを手にした人間次第。
「ちょっとダークな青春ファンタジー」(帯の記述から)第2弾。今回も、バッドエンディングあり、ハッピーエンディングありの5話収録。前巻と比べると、各話の主人公たちが、自らの欲望と戦い、葛藤する様子が多く描かれる。葛藤した末誘惑に打ち勝つ主人公が、希望を見出すという展開が主流に。1巻でバッドエンディングが多かったことの反動か。
そして、注目は第10話。いつも表情に乏しく、どちらかというと背景に近いような存在のロマの、寂しげな表情が垣間見られる。人間の欲望が肥大した末に、絶望に行き着いた人間に対しても、冷酷な姿勢で接し、無表情で欲望の塊を回収する彼女。その行動の裏には何が隠されているのか。第2巻には、欲望の回収に失敗する話が多く収録されているにも関わらず、欲望の回収は順調に進んでいるよう。目的である王魂復活までのカウントダウンが始まった。いよいよ、物語の真相が本格的に明かされる日が近付いているのかもしれない。
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