xxxHOLiC CLAMP 講談社 既刊16巻
アヤカシが見えるという四月一日君尋は、自分の持って生まれた性質を取り除く対価を支払い終えるまで、次元の魔女、侑子の店で働くことになってしまった。侑子の元に訪れる、様々な客や、同じクラスの百目鬼、ひまわりと関わることで、四月一日は、様々なことを学んでいく。
今までのような、少しのんびりとした生活は長くは続かなかった。四月一日を取り巻く環境と人々に、変化が訪れる。女郎蜘蛛から右目を奪われる四月一日。自分を犠牲にすることで誰かを助けようとすることで、逆にその人を傷つけることになってしまうことを思い知らされることになる。これまでの優しい性格はそのままに、四月一日は成長を見せる。
そして、四月一日が好意を持つ、ひまわりの正体も明かされることに。この先、四月一日、百目鬼、ひまわりの三者の関わりが、今まで以上に密接になるであろう。それぞれが自分に課せられた宿命を背負いながらも、それに抗おうとする。四月一日の固い決意のもとに届けられた1羽の鳥は、かすかな希望を照らし出してくれる。人に、生きていて良かったと思わせることができる、四月一日の純真な優しさが光る場面である。
世の中にあるのは必然だけとするのが、本作の世界観。しかし、その必然の中でどう運命を切り開いていくかによっては、思わぬ収穫もあり、人生も捨てたものではないと思える。運命と自ら向き合う強さと優しさを伝えてくれるエピソードに溢れ、読む者に勇気を与える。
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