ヤンキー君とメガネちゃん 吉河美希 講談社 既刊17巻
香川を会長とする新生徒会が発足し、紋白高校は夏休みを迎える。新旧の生徒会引継ぎ合宿、旧生徒会メンバーの旅行と、品川達は夏休みを満喫する。休み明けには文化祭の準備に入り、まだまだ品川達生徒会メンバーの活躍は続く。クラスの実行委員に選ばれてしまった品川は、学校を休みがちな宮城さくらと共にクラスの文化祭企画を成功させようと奮闘する。
時は淡々と過ぎていくのに対して、数々の重要事件が起こる。特に大きな事件としては、品川がついに足立の正体を知ることになるシーンであろう。まさか、単なる実行委員の仲間に過ぎないと思っていた宮城がここまで決定的な役割を果たすとは。今までの憧れの存在であった女子生徒と目の前にいる足立花が同一人物だということに戸惑う品川。しかし、徐々にその現実を受け入れようとしていた矢先、事件が起こる。ひょんなことから足立が眼鏡とお下げを取って登校するようになり、学校中の話題になる。探していた足立花を見つけたということで、揚羽工業のメンバーも動き出す。
本編として重要な部分の面白さはもちろん、そのバックに入っているちょっとした話もなかなか。特に、千葉が女性陣の勢いに着いて行けずに、旅行の行き先決めで苦労する話などは、うまいところを突いてくるなと思う。また、高校受験以前に品川と足立が会っていたというエピソードの「メガネ君とヤンキーちゃん」は、2人の縁の深さを物語る。今まで影に隠れがちだった姫路にも焦点が当たる。財閥のお嬢様だったという隠れ設定が明らかになり、自分の素性と真剣に向き合う決意をし、隣の青筋学園に転校する。
最近の傾向として興味深いのは、和泉のキャラクターが以前よりも崩れてきていること。勉強と喧嘩を究めることを目指す自信過剰な正確はどこへやら。服のセンスが悪い人物として定着しつつある上に、自分のドジな部分まで意識してしまうという有様。人と人が関わることの面白さか。
品川にスポットライトが当たる本編もさることながら、それ以外の部分もしっかりしている。図と地の両方で楽しめるという点で、魅力的な作品。
◎過去の記事◎
『ヤンキー君とメガネちゃん(1)~(4)』『ヤンキー君とメガネちゃん(5)~(8)』『ヤンキー君とメガネちゃん(9)~(12)』PR