外つ神 斎藤岬 幻冬舎 既刊5巻
祖母の死をきっかけに、高校生の鳴神匡は、突如外つ神守としての役割を任される。同級生の野々宮千影、副担任の狐塚嵩臣、その従妹の咲、狐塚の友人のヴァンパイア・クォーターの百鬼冬麻らとともに、匡は悪霊が出てくる裂け目である外つ神塚を守ろうと奮闘する。全国に12あるという外つ神守達が、鳴神家に集い、鳴神家の塚を他の家に任せてはどうかという話まで出てくる中、匡は仲間の助けを借りつつ、何とか自らの家の塚の管理権を失わずに済む。自分の無力さを痛感した匡は、外つ神守の会合で出会った斎宮の惟子に、魔物退治の方法を学びたいと志願する。しかし、匡に嫉妬する御手洗の策略で、匡は黄泉の国に落ちてしまう。
順調に巻を重ねている妖怪退治漫画。身近な妖怪退治が多かった3巻までの流れからは一転して、徐々に主人公の過去が明らかになっていったり、外つ神守の駆け引きが描かれたりと、物語は外つ神守を中心に据えて動き出す。鳴神家の蔵にある謎の箱の存在も、この先重要な鍵を握るのだろうか。
また、匡が黄泉の国に行ってからは、匡が狐塚家の次男、史春に出会い、独特の感情を覚えるなど、匡の心の中に少しずつであるが変化が訪れる。
加えて、これまでクールに匡の援護をしてきた千影が、黄泉の国に行ってしまった匡のことを心配して、初めて匡への気持ちを露わにするところは名場面だ。実は両想いだよ、匡!
予想以上に息の長い作品になりそうな本作。巻末のおまけ漫画と壁紙プレゼントの企画は相変わらず継続中と、サービスも満点。
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