さよなら絶望先生 久米田康治 講談社 全30巻
7年間にわたる連載に、ついに幕が下りる。ネガティブ教師と強靭な個性を持った絶望少女達の物語を締めくくる2冊を、今更ながら語ってみる。
作者曰く、連載が長期化するにつれ、単行本の発行部数は明らかな先細り傾向。確かに、20巻台の後半からは、何となく終わりを意識したような展開も垣間見えていた。ずっと進級しないことがネタのようになっていた二年へ組の生徒が揃って3年生に進級したり、紙ブログにも何となく終わりそうな香りが漂っていたり・・・ そんなこんなで、キリの良い30巻で終了という展開も、さほど不思議ではなかった。
最後の2冊は、終わりの予告と謎解きに尽きると言ってよい。29巻の最後で懐かしき絶望先生の影武者がメッセージを持って現れて、終わりへのカウントダウンが始まり、少しずつ明らかになっていく絶望少女達の秘密。それは読んでのお楽しみといったところか。「バス停を4つ用意」したという作者の試みには脱帽だ。個人個人で最終回を迎える個所を選択することができるようになっている。やめようと思ったところこそが最終回なのだ。
これまで30冊単行本を発行し、カバーの絵から、おまけページ、読者投稿のページに至るまで、サービスに欠かない作品だった。そして、ネガティブに、自虐的に世の中に突っ込みを入れる批評精神に富んだ漫画である点が、貴重だった。連載の終了は寂しいが、ここまで楽しませてくれる作品に出会えたことを嬉しく思う。次回作は果たしてあるのかという不安があるが、次回作に期待したい。
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『さよなら絶望先生(1)~(19)』『さよなら絶望先生(20)』『さよなら絶望先生(21)』『さよなら絶望先生(22)』『さよなら絶望先生(23)』『さよなら絶望先生(27)』PR