PandoraHearts 望月淳 スクウェア・エニックス 既刊19巻
首狩り事件の潔白が証明されたかのように見えたエリオットだったが、蘇る記憶の波に晒されて、彼は自分自身が首狩りの犯人であったことに気付かされる。彼は自らハンプティ・ダンプティを否定することで、命を絶つ。一方、その後の世界とパンドラは大混乱に陥る。一連の事件の影に潜むバスカヴィルの民は、当主グレン・バスカヴィルが眠る封印の石を狙って攻勢に出る。また、100年前の英雄、ジャック・ベザリウスの本当の意図が明らかになってくる。さらには、オズの中に眠るB・ラビットの謎、アリスに似た少女、レイシーの謎、ギルバートの過去などが、過去の回想とともに明かされる。
謎が謎を呼ぶ展開の本作だったが、ここ最近は、これまで散りばめてきた伏線を回収するエピソードが多く盛り込まれている。まるでパズルの欠片が集まり、絵が少し見えてくるように、様々な謎が1本の線に繋がりつつある。
登場人物たちも、これまでとは異なった一面を見せることがあり、ドラマに深みが出てきた。自ら命を絶ってまでナイトレイ家の誇りを保ったエリオットを尻目に、世間での体裁を気にするナイトレイ公爵。彼に対して、これまでになく怒りを露わにするヴィンセントの姿は、これまでの印象を一変させ、鮮やかな名場面を演出した。また、悪役のように動き出してきたジャックの持つ負の感情も見所。ついに自らの過去を知り、絶望のどん底に立たされたオズの未来も気になるところ。従者、ギルバートは彼を導く光となるのか。
丸7年と、予想をはるかに超える長期連載となった本作。月刊の連載でありながらも、1回の掲載ページ数が多く、休載がないので、ついにGファンタジー史上でも最高の巻数を重ねるに至った。ここまで続けてきた作者には敬意を表したい。
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『PandoraHearts (1)~(10)』『PandoraHearts (11)』『PandoraHearts (12)』『PandoraHearts (13)』PR