男子高校生の日常 山内泰延 スクウェア・エニックス 全7巻
タダクニ・ヨシタケ・ヒデノリの3人の男子高校生を中心として、その友人やきょうだい、近くにある女子校の生徒までも範疇に入れて繰り広げられるギャグ漫画の最終巻。
2012年の年明けに、アニメ化が大いに話題になった本作は、年内に早々と最終回を迎えてしまった。しかも、あまり最終回らしくない最終回で、最後まで度肝を抜かれる作品だったなと思った。教科書の文の読み間違いネタなど、読んだことない人がその部分だけを読んでも十分面白い話から、文学少女とヒデノリとの熱き交流(?)など、1巻から読んでいる読者には嬉しい話まで網羅された最終巻で、勢いは最後まで衰えなかった。特に、最終回前の2話で、好評の文学少女ネタを他の男子高校生、他の女子生徒で実践してみた話は非常に面白かった。そして、最後には、特別読みきりで「女子高生は異常」の最終回も収録。こちらも終わりという感じのしない内容だった。
あくまで男子高校生達とその周囲の日常には終わりがあるわけではなく、たとえ漫画が終わろうと、日常は続いていくというのが、作者からのメッセージなのだろうか。あまりに唐突な終了と最終回らしくない最終回には驚きを隠せない。
本作が人気となった意味は大きい。王道のラブコメ要素はゼロ、萌え要素もゼロで、壮大な冒険ストーリーでもない作品を引っ提げ、数多の作品が溢れる漫画界に勝負を挑み、人気を博した作家は、近年でどれくらいいるのだろうか。このような制約とも言えるような条件を、逆に巧みに武器にした作者のセンスは、類稀なものだ。
最後に、本作を影から盛り上げてくれた、顔も無き女子生徒達にエールを贈りたい。
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