ヤンキー君とメガネちゃん 吉河美希 講談社 既刊18巻
秋も深まる時期、品川達は進路選択の時期を迎える。他のメンバーが大学進学を目指して予備校通いを始める中、品川は乗り気でない。しかし、周りから促されたのもあり、最終的には予備校に通うことを決意する品川であった。そんな折、品川の過去を知る女、八王子雫が現れる。実は、品川は、全国模試の上位に名を連ねる名門中の名門、大紫学園の中学出身だったのだ。2人は学年の1位と2位の座を争う仲だったが、八王子を不良から守ろうとしたことをきっかけに暴力事件を起こし、品川は大紫を退学になっていた。やがて、八王子の指導の下、品川達は全員で最難関の殿様大学進学を目標とし、勉強に励むことになる。
ドラマ放送に合わせ、2か月連続の単行本発売。そして、2か月連続の女性キャラの表紙。自分としては、足立花の弟、葉が来るのではないかと予想していたのだが、18巻の表紙は品川の姉、海里であった。少年漫画としては比較的男性が多い本作では、今までにない流れ。
これまで明らかにされてこなかった品川の過去と家族関係が明らかになる、重要回。不良というレッテルを貼られながら、なぜ品川は賢かったのか。品川の両親は何をしているのか。その謎が明かされた。ぶっとんだ父親である、宙太にも注目。気になるのが、宙太が足立について語った言葉、「気付いたらいなくなっちまってるタイプ」。徐々に高校の卒業が迫る中、卒業前に何か大事件が勃発するのだろうか。
文化祭以来、足立は眼鏡を外し、「メガネちゃん」が消えたため、タイトルの存続が危ぶまれているところに、彗星のごとく登場したのが、八王子雫。新たな「メガネちゃん」は徐々に存在感を増し、もはや足立のお株を奪う事態に。勉強を取り柄にし、退学した品川と大学での再会を誓った八王子が、優等生的な悩みを持ちつつも、自分の居場所を見つけようともがく姿は、一宮アンナや北見など、これまでの登場人物達と何ら変わりはない。しかし、中学の頃から時が過ぎ、品川の心が自分から離れていっているのに気が付くにつれ、品川への気持ちが単なるライバル心ではなく恋心だということも意識してしまうという切ない展開。同じく品川に惚れた水戸すばる、宮城さくらに続く悲劇のヒロインとなってしまうのか。
普通の高校生が最難関大を目指すという「ドラゴン桜」的な要素まで入り込んできた本作。今後の展開はいかに。久々の3か月後の発売となる、第19巻を待つ。次の表紙は八王子雫かな。
☆過去の記事☆
『ヤンキー君とメガネちゃん(1)~(4)』『ヤンキー君とメガネちゃん(5)~(8)』『ヤンキー君とメガネちゃん(9)~(12)』『ヤンキー君とメガネちゃん(13)~(16)』PR