あまんちゅ! 天野こずえ マッグガーデン 既刊3巻
「ぴかり」こと小日向光と、「てこ」こと大木双葉の2人の高校生を中心にした、「日常、ときどきダイビング。」をテーマとした作品。夏が近付く中、ダイビング初心者のてこは見事プール実習に合格し、先輩2人を入れたダイビング部4人は、晴れて海に潜ることになる。
夏にぴったりな物語。「日常、ときどきダイビング。」というキャッチフレーズ通り、ダイビング以外にも様々な日常が描かれる。ダイビング部顧問の真斗先生の視点から梅雨のある日を描いた第13話「梅雨入り」、姉ちゃん先輩と弟くん先輩こと二宮姉弟のある日を扱った第15話「ラブレター」など、ほんわかした話もある。
ダイビングの方はというと、てこの成長を垣間見ることができる。てこが苦手を克服し、講習をクリアする過程は、爽やかな部活物語。初めて海に潜ったときの驚きと感動は、まさに青春物。普段はちょっと言えないような恥ずかしい台詞も、若さゆえの豊かな感受性から溢れ出てくるのだろう。
みんなの前で明るく振る舞うぴかりと、引っ込み思案なてこは、一見正反対の性格に見えて、実は2人ともちょっとコミュニケーションが苦手という点で似ていた。そんな2人が、ダイビングを通して互いに友情を深めていくのが、これまでの展開だった。3巻からは、打って変わって、ダイビング部全員に少しずつスポットライトが当たるようになる。その分、ダイビングとは直接関係のない話も増え、やや焦点がぼやけてきたように思う。元から、非日常的なことなど何一つ起こらない世界が舞台なだけに、主人公達がダイビング部の活動を通して成長する過程や、躍動感溢れる海をどう表現していくかが、本作の鍵となるであろう。
物語の世界は、いよいよ夏休みに突入する。本格的なシーズン真っ只中のダイビング部の今後に注目。
追記
「あまんちゅ!」の検定なるものに挑戦してみました(検定の問題は、1巻の内容から)。
☆過去の記事☆
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