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此花亭奇譚 天乃咲哉 一迅社 既刊2巻



狐のお宿の仲居を中心にした、ほのぼの物語の第2弾。春の物語を扱った前巻に続き、今回は夏の物語を収録。此花亭での怪談、近くでの夏祭り、河原で、柚は不思議な体験をする。

雑誌に3か月に1回の掲載ながら、同時掲載も行なったため、前巻からわずか7か月で発売となった。ほのぼのとしたファンタジーに若干の百合要素を加えた作風は、今回も健在。夏らしいイベントが散りばめられている。

第五話「此花亭怪談」は、怪談中に本当の幽霊が舞い込んできてしまう話。仲居全員が少しずつ登場する唯一の話でもある。原稿の締め切りに追われる作者と思しき人物も登場。第八話「櫻と河の神様」は、櫻と河童の無言の駆け引きが楽しい。夏祭りを取り上げた第六・七話は、柚の純粋な優しさに触れられたり、蓮の乙女な内面が覗けたりと、盛りだくさん。ちなみに、夏祭りでは、酒を嗜む作者の姿を見ることができる。随所に顔を出す作者探しをしてみるも楽しい。

作者ブログによると、次巻の発売までは、しばらく間が空きそうだ。単行本の発売ペースは遅くとも、作品自体は長く続くことを願う。


■過去の記事■
『此花亭奇譚(1)』
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