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自殺島 森恒二 白泉社 既刊3巻



自殺の対応に追われる日本が、自殺未遂者を送り込むことに決めた島、通称「自殺島」において繰り広げられる極限のサバイバル・ドラマの第2弾。主人公セイは、弓矢を作り、鹿を捕らえようと考え、単独で森の奥へと歩みを進める。

第1巻が、自殺島という特殊な社会での人間関係を取り上げ、渦巻くエゴ、誰かと繋がることで生きる気力を得られる人間の姿を描写したのに対して、第2巻は主人公セイ個人に焦点を絞る。高校時代に淡い好意を抱いた先輩とのエピソードも描かれる。

山場は、やはり、セイが獲物を仕留めた場面。自分が生きるとはどういうことか、自分が生きるために他者の命を奪うとはどんな意味を持つのか。微かながらも「生きよう」という気持ちを持った仲間を失った悲しみも相俟って、生の意味について考えざるを得ない局面に晒され、セイは感極まる。日常の生活からは想像もつかない過酷な状況を生きる者の心の声は、私達に多くのことを語りかける。

作者の手によるサバイバル生活ガイドが随所に登場。自然と共に生きる術も学べる。

今後は、再び自殺島で暮らす人々に焦点が当てられる。自殺島に与えられた意味とは何なのか。物語の核心に迫ることになりそうだ。


○過去の記事○
『自殺島(1)』
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