ローゼンメイデン PEACH-PIT 集英社 既刊4巻
翠星石は、狙い通り蒼星石を復活させ、雪華綺晶の実体化を阻止することになる。"まかなかった"ジュンが元の世界に戻るため、演劇の舞台に作った大時計を動かそうと、各々は自分の課題に立ち向かう。マスターと自分の身体を手に入れようとする雪華綺晶の運命にも注目。
雪華綺晶の魔の手によって絶体絶命のピンチに陥ったジュンが、助けを求めた相手であるのが、"まかなかった"世界のジュン。第4巻で、いよいよ"まかなかった"世界に決着がつく。"まかなかった"世界のジュンは、自らの世界に希望を見出し、"まいた"世界のジュンに勇気を与え、主人公のポジションから退く。対照的に、以前は不気味に暗躍していた雪華綺晶が、哀れに崩れ去っていく過程も描かれる。また、今までずっとアリスゲームに対して強気だった水銀燈も、アリスゲームの勝者という概念を再考しようとする。
雪華綺晶と"まかなかった"世界との関係は、皮肉としか言いようがなかった。雪華綺晶は元来、精神のみの、実態を持たない存在だった。しかし、最終的にはジュンと心の部分で繋がることができず、"まかなかった"世界にはアンティークドールという物質の形で残ることになる。それに対して、真紅・蒼星石・金糸雀らは、物質の壁を乗り越えられなかったが、しっかりとジュンの心の中に根を下ろし、記憶に住み続けることで、"まかなかった"世界に生き残ることになる。自分にとって本当のマスターを求め、泣き崩れる雪華綺晶の姿が切な過ぎる。
次巻からは、"まいた"世界の物語が本格的に始動する。3体のドールのマスターとなった"まいた"世界のジュンの今後が楽しみ。
■過去の記事■
『ローゼンメイデン (1)(2)(3)』■追記■
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