神のみぞ知るセカイ 若木民喜 小学館 既刊10巻
アニメスタートということで、書店では9巻までが平積みにされていたり、最新の10巻が品切れになっていたりと、一気に名を広めている模様。さて、1ヵ月遅れになってしまいながらも、記念すべき第10巻のレヴューを。
前巻では、五位堂結の攻略中、男女入れ替えというハプニングが起こるという事態に。そして、女と化した桂馬が出会ったのは、2人目の攻略対象の青山美生だった。
まさか美生が女神かという期待が高まると、実は違いましたという展開だった。しかし、再び可能性を示唆させるような描写もあって、本当に作者はこの辺りの塩梅が巧い。まだまだ謎は保留。
今回は、桂馬が女性用の恋愛ゲームの理論に基づき、男性化した女性に自分を攻略してもらうという、少しひねた設定となった。親からの自立という、思春期・青年期の課題も描かれ、今まさに壁にぶつかっている人にとっては、勇気付けられる内容だったかもしれない。
さて、間髪入れずに、話は檜編へと突入。かつて驚異的な人気を誇ったという春日楠の姉が登場となる。作者曰く「神のみ史上もっとも重たい」という檜編。人間が巨大化するという、笑ってしまうような設定の裏に隠された重さとは。
このように、たまに前の攻略対象が現れるのは、実に巧みな設定だなと思う。主人公の時間軸が4月を迎えたときに、かつての教育実習生、長瀬純が戻ってきて…という可能性も考えてしまった。
主人公の知らないところで、駆け魂を巡る謎の駆け引きも起こっている。勢いに乗っている本作の今後の展開はいかに。
●過去の記事●
『神のみぞ知るセカイ(1)~(6)』 『神のみぞ知るセカイ(7)』『神のみぞ知るセカイ(8)』『神のみぞ知るセカイ(9)』PR