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浪漫倶楽部 天野こずえ エニックス 全6巻
浪漫倶楽部 <新装版> 天野こずえ マッグガーデン 全6巻


夢ヶ丘中学校に入学した火鳥泉行は、人間が目にすることができない精霊などを見ることができる、セカンド・サイト(第2の瞳)を持っていた。その能力を認められ、先輩の綾小路宇土が部長を務める部活、浪漫倶楽部に入部する。夢ヶ丘中学校の近くにある丘は、霊的な力を持っていて、かつてはそこで怪事件が起こっていた。しかし、100年前に祈祷師が頂上にある石に対して術をかけ、丘の力を封じて以来は、怪事件は人々の噂の域を出なくなった。しかし、噂の真相を確かめようとして綾小路が始めたのが、不思議な事件の解決を引き受ける謎の部活だった。ある日、化学部からの依頼を解決しようとして丘に行った火鳥は、小さな子どもを見つける。実は、その子どもは、100年前から丘を守る石の精霊であった。「楽しい」という感情を知ってしまった石の精が、火鳥らと共に過ごすことを選んだだめ、今まで封印されていた丘の力が解放され、周辺で不思議な事件が起こることになる。以来、浪漫倶楽部は不思議事件に巻き込まれ、それを解決する日々を過ごすことになる。

一話完結型の構成で、誰もが一度は夢見るような、不思議な事件や冒険が存分に描かれていて、少年漫画の王道とも言える内容になっている。だからといって、浪漫倶楽部の面々に特殊能力があるわけではない。火鳥の瞳も、誰かの声を聞くためのものでしかない。彼らは暴力に頼らず、事件の解決を目指す。それでいて、人間、動植物、物に対する思いやりの大切さ、共に過ごす仲間の大切さを訴える話もあるという、教育的な面も持った、文句の付けようのない少年漫画である。また、「MOTHER」シリーズの土星さんが密かに部屋に飾られていたり、火鳥家の面々の名前が、泉行(せんこう)、姉の真斗(まと)、父の力人(りきと)と、「蚊取り○○」に当てはまるようになっているなど、ギャグの要素もある。

特筆すべきは、主人公達の、弱者に対する優しさである。そもそも、不思議事件が起こるのは、強い想いを持った何者(物)かが、想いを叶えるために丘の霊力を借りようとするからである。不思議事件は、非力なものの魂の叫びと言い換えることもできるのだ。その事件を解決するということは、弱いものの声に耳を傾けることに他ならない。浪漫倶楽部のメンバーは、必ずや助けに応じてくれる。

もうひとつ、考えさせられるのが、人を受け入れていくことの大切さである。主人公達は、人をすぐに悪い人と決め付けたりしない、広い心を持っている。彼らの思いやりのお陰で救われる人物は多い。特に、本作には自分の思いをうまく伝えることが苦手な人物や、周囲と自分の違いに悩みを持った者が多数登場する。そもそも、部長の綾小路は学校一の変人と称される人物である。彼らは、「コミュニケーション能力」「空気を読む」という言葉が跋扈する現代において、どれだけの人に受け入れられることができるのだろうか。

そう考えると、この漫画から学べることは本当に多い。コミュニケーション能力を磨けということを謳った書籍は、世に溢れるほど出ている。しかし、他人の声に耳を傾け、受け入れていくことの大切さについてストレートに主張する言葉が、どれほど世の中に流通しているだろうか。その意味で、本作の存在は、発売から10年以上経過した現在においても貴重なものであろう。
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