勤しめ!仁岡先生 尾高純一 スクウェア・エニックス 既刊4巻
子ども嫌いの中学教師、仁岡が、真面目な自称不良の浅井や、10年以上昔の流行感覚を持った自称最先端ギャル今江、かわいい人好きの女教師の河原、どうしようもない校長とともに繰り広げる、破天荒なギャグ漫画の第2弾。今回は、これらの面々に加え、またも個性的な新キャラが2人登場する。
今までひたすらツッコミ役に徹してきた仁岡が、良い意味でキャラを崩してきたのが、今回の見どころ。「ガキを滅ぼす」という、お決まりのの大義名分を抱えつつ、彼はいつの間にか球技大会にのめり込んだり、冬休みの宿題で生徒を苦しめようとして、サンタの格好をして滑ってしまったり・・・「本当のところアニキは誰よりもガキ」と、仁岡のことを言う浅井の言葉には、恐ろしいほどの説得力がある。
さて、そんな中学校に新たな英語教師が赴任する。何と、この学校には1年ほど英語教師がいなかったらしい。このような驚くべき事態にも、もはやそれほど驚きを感じなくなってしまった自分は、この作品の勢いに乗せられ、感覚が麻痺してしまったのだろうか。その教師の性格がまた、本作において非常に良い味を出しているように思う。彼は河原の弟で、姉と同様に中学生の純粋さに惚れ込むも、恋愛関係にまでは進展させるつもりはないと断言する。それは、どんなに美しい中学生の心も、自分の美しさには敵わないという、ナルシストな思考に由来する。善と悪、大人と子どもといった二面性が仁岡の特徴なら、英語教師、河原梅夫は、通常と狂気というさらに強烈な二項対立を内包した人物である。狂気が1周することで行き着く先は、曲りなりのノーマルなのである。
もう1人の新キャラが、仁岡のクラスの女生徒、前田だ。彼女は、中学生当時の仁岡を彷彿とさせる性格の持ち主。ひねくれ者の仁岡を上回るひねくれぶりを見せつつも、人付き合いが苦手で憎めないところがある。
その他にも、バレンタインデーの話では、今まで強さのみが強調されがちだった河原が、乙女な一面を見せるなど、笑えてかつ魅力的な話が多い。ちなみに、新キャラ登場ラッシュの中、ヒロインのはずの浅井の存在感がやや薄れがち。反対に、影響力を増していくのが上原。今後の展開はいかに・・・
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