PandoraHearts 望月淳 スクウェア・エニックス 既刊12巻
トール村で謎の首狩り事件に遭遇したオズ達がその情報を持ち帰ったところ、パンドラ内は大騒ぎに。そんな中、オズの叔父、オスカーはお茶会を開き、一同は安らかなひと時を過ごす。ところが、そのような穏やかな時は長くは続かない。「かの国」から送り込まれてきたという人物、イスラ=ユラが現れた。「首狩り」事件の謎の解明を目指し、オズ達は四大公の一角、バルマ公と組んで、イスラ=ユラの屋敷へと赴く。
ここ最近は、かつてからナイトレイ家に起こっている「首狩り」事件の謎が最大のテーマになりながら、物語が進んでいる。次々と美形の人物が登場してくる本作の中で、イスラ=ユラは唯一不気味な相貌の持ち主。彼がキーパーソンであることだけは間違いない。四大公爵家による組織、パンドラ、異端のバスカヴィルの民と、世界がどんどん広がっていく中で、ついに「かの国」と呼ばれる隣国まで登場した。各公爵家の思惑に加え、公爵家の中の各人の思惑もぶつかり合い、互いに裏を取り合う攻防戦が激化してきたように思う。
休息の場を提供してくれるのは、いつもオスカー叔父さんである。一同が会した瞬間を撮影した写真には、ナイトレイ家のエリオットに、久々の登場となったエコーも入っている。「この…夢のような一瞬が永遠に続けばいいのに」という台詞が、悲劇の序章を予告しているのか。願わくば、再びこの画を見たいものだ。
ちなみに、エイダの意外な趣味が発覚する。これには、自らの企みを実現する手段として近付いているヴィンセントでさえ、たじたじ。さすがオズの妹といったところ。
◇過去の記事◇
『PandoraHearts (1)~(10)』『PandoraHearts (11)』PR